12月18日(土)放送:「丸子のひみつは蜜の味」

『丸子のひみつは蜜の味』

安倍川の西、丸子の宿。丸い子と書いて、丸子。名前からしてまんまるっこい、まろやかな気持ちになるまちだ。だが実はこの丸子、戦国時代には、西からの攻撃を防ぐ砦(とりで)の役割を果たしていたらしい。

丸子の名勝、吐月峰柴屋寺(とげっぽう・さいおくじ)。今川家に仕えた連歌師(れんがし)「宗長(そうちょう)」によって開かれたお寺だ。「連歌」とは、何人かで交互に上の句・下の句を詠み連ねていく和歌のスタイル。要するにラップバトルみたいなものだ。連歌師は、そのプロ。

連歌は、戦国武将たちに大人気で、戦の前日に勝利を祈ったり、兵士たちのテンションを挙げるために開催されることもあった。いろいろな戦場に招かれる連歌師たちは、情報屋やスパイの役割も兼ねていたらしい。戦国の世のヒップホップスター・宗長も、全国各地のセッションで仕入れた情報を今川氏に提供し、軍事顧問のような役割を果たしていたようだ。

そんな宗長が暮らした丸子で、あなたを、ひみつを運ぶ秘密結社に招待する。

丸子の宿(しゅく)の名物、とろろ汁の丁子屋を目印に案内しよう。丁子屋の前を流れる丸子川の橋を渡るのが東海道。だが、きょうは渡らずに北西へ進む。大きな道路を渡り、国道1号線のバイパスをくぐる。道なりに進むと、小川に沿ってゆったりとカーブを描く道が始まる。さらに道なりに5分ほど歩くと、右手に、森に包まれたお寺の門が現れる。

門には「文福茶釜の寺」という札がかかっている。門の先の仄暗い軒下をくぐると、受付にご婦人がいる。それが、この寺の奥方だ。六十年以上ここで暮らし、この場所を守ってきた。奥方に挨拶をして、合言葉を告げてほしい。合言葉は……「急がば回れ」。すると、奥方から「あるもの」を手渡されるはずだ。その、あるものとは…ひみつ。だがその「あるもの」に、あなたへの指令、つまりミッションが隠されている。どんなミッションかは、ひみつ。ミッションを確認したら、奥方に案内を頼もう。

さてミッションを終えて門を出たら、川沿いの道をさらに奥へ進む。だが次の目的地はもう、すぐに見つかるはずだ。その道のり、約1分。ただし、中に入るにはちょっと勇気がいる。あれっ、ここ本当に入っていいのかなあ……と不安になるだろうが、「純粋ハチミツ」と書かれた大きな看板を信じて、えいやと足を踏み入れよう。この家の主(あるじ)に出会えたら、再び、はちみつキャンディのミッションを実行すること。あなたは丸子のひみつを運ぶスパイ、いや、丸子のはちみつを運ぶスパイなのだ。

ただし、勇気を出して入っても、肝心の主が留守にしていることがある。その場合は玄関先に、主からの伝言が置かれているはずだ。時間があるなら、少し近所をぶらぶらしてから戻ってくれば、会えるかもしれない。丸子のひみつは、ゆっくりとやってくるのだ。そう、合言葉は「急がば回れ」。

※『丸子のひみつは蜜の味』が上演できるのは2021年12月18日(土)と、24日(金)25日(土)26日(日)の4日間、いずれも午前11時〜午後3時までです。


聴き直し

当日の放送は以下You Tubeまたはradkoタイムフリーから聴くことができます。

今回の戯曲を朗読してくれているのはSPAC-静岡県舞台芸術センターの俳優・牧山祐大さん。

Ⓒ加藤孝

今回の舞台

丸子の宿は東海道五十三次の20番目の宿場。江戸時代からとろろ汁が名物で、松尾芭蕉の俳句や『東海道中膝栗毛』などにも丸子のとろろ汁が描かれています。

一方、ひそかな名物として知られているのが地元産のハチミツ。丸子では戦前から養蜂が始まり、今でもハチミツ専門店を多く見かけます。

戦国時代、今川氏によって開かれたという丸子城は、西から攻めてくる敵を防ぎ駿河を守る重要な城でした。その今川氏のスパイ?ともいわれる宗長が開いたお寺・吐月峰柴屋寺(とげっぽう・さいおくじ)が、今回の舞台。室町時代から500年以上も守られてきた借景式の庭園が、国の史跡および名勝にも指定されています。

戯曲に登場した場所以外にも、リニューアルして洗練された空間に生まれ変わった「匠宿(たくみしゅく)」や、​​滝の周囲に300体以上のお地蔵さんが並ぶ光景が幻想的な大鈩不動尊(おおだたらふどうそん)、お城好きや戦国マニアにはたまらない丸子城址(まりこじょうし)など、見どころの多い丸子エリア。吐月峰柴屋寺ではガイドマップももらえます。山に囲まれた気持ちの良い道をのんびり歩いて、ショートトリップを楽しんでみてください。

上演のコツ

最初の目印は、歌川広重の浮世絵にも描かれている丁子屋。名物のとろろ汁で腹ごしらえをしてからスタートするのもいいですね。

吐月峰柴屋寺で、受付にいる奥方に合言葉「急がば回れ」を伝えて「あるもの」を受け取ってください。その中に入っている1つ目の指令に従ってください。

奥方のご案内を聞いてミッションを行ったら、2つ目の指令に進んでください。もし主が留守であれば、家の前まで行って、玄関先で伝言を探してくださいね。

今回、ミッション完了した人には、プレゼントをご用意しています。

完了後、通り道にある、静岡の伝統産業を様々な形で体験できる施設「匠宿(たくみしゅく)」に立ち寄ってください。エントランスを入ってすぐの受付で、最初のお寺で受け取った指令書を見せると、「さくらももこさんのオリジナルイラスト入り静岡茶葉100gパック」がもらえます。※先着50名まで

匠宿の中には、丸子産のハチミツを使ったスイーツが味わえるカフェもあるので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

『丸子のひみつは蜜の味』を体験できるのは、12月18日(土)と、24日(金)25日(土)26日(日)の4日間、いずれも午前11時〜午後3時まで。休日のお出かけに、ぜひチャレンジしてみてください。

上演して(やって)みたよ! で、どうすればいいの?

きょうの演劇では「こんなふうにやってみたよ!」という体験談や、戯曲の感想を募集しています。ラジオネームと、やってみた人は写真を添えてTwitterInstagramで投稿してください。

もちろん、戯曲の感想も大歓迎です。丸子の好きな場所、思い出などを投稿してくれるのも嬉しいです。

SNSに投稿する際はハッシュタグ「#きょうの演劇」を添えてください。「きょうの」はひらがな、「演劇」は漢字です。メール kyonoengeki☆gmail.com(☆を@に変えてください)またはフォーム でも受け付けています。

お送りいただいた体験談は、ラジオまたは『きょうの演劇』公式ウェブサイトまたはSNSで紹介させていただきます。

次回予告

次回は年内最後の戯曲を、生朗読でお届けする予定です。どうぞお楽しみに。

 

特集

ディレクターがつづる「場所日記」

お問い合わせについて

『きょうの演劇』に関するお問合せは
こちらのフォームからどうぞ。
Click here to contact us!