2月12日(土)放送:『きれいな影』/公募作品

『きれいな影』

めぐみ・作

光と影。
影と光。

相対しているような、いつも一緒のような不思議な関係。
二つの間に線が引かれているわけではないし
どちらとも言えない間の部分も大切だと思います。
『光の多いところ、強い影がある』
と言ったのは、かの有名な詩人だったような気がしますが
まあ難しい話は忘れて
今日はあなたの側にある影であそんでみませんか。
お天気が良ければすぐにできるあそびです。

ひとつ。
外へ出てきれいな影を探してください。

ふたつ。
見つけた影を写真に撮ったり紙に描いたりして
誰かにおすそ分けしましょう。
代わりにきれいな影を一つ教えてとお願いするのも良いでしょう。

朝陽でうまれる影
夕暮れにあらわれる影
自分でつくる影

はっきりした
ぼんやりした
ゆらゆらした

葉っぱの影
郵便ポストの影
ビルの影
手押し車の影

いつも見ているもの、ではなく
影の方を見てみる。
ただそれだけのあそびです。

もしもそこに光の存在を感じたとしても
誰かに伝える必要はありません。
なぜって、今日は影が主役ですから。
そしてあなたはこの世にひとつしかない影を探す冒険家です。

朝ごはんを食べたらお出かけしましょう。
小さな美しさもよく見えるメガネをかけて。
どうぞいってらっしゃい。


聴き直し

当日の放送は以下You Tubeまたはradkoタイムフリーから聴くことができます。

今回の戯曲を読み上げてくれたのはSPAC-静岡県舞台芸術センターの俳優・河村若菜さん。今回は、飾らない、やさしい言葉だけで構成されていながら、その詩的な連なりが美しい戯曲。そんな一語一語の手触りを大切に、読み上げてくれました。

今回の舞台

これまで『きょうの演劇』の戯曲はプロジェクトチームが書いていました。ですが今月は、2021年10月に実施した戯曲の公募でリスナーさんから届いた作品や、ワークショップから生まれた作品をお送りしていきます。第四弾は、めぐみさんの作品です。

今回の戯曲は、お天気さえ良ければ、あるいは夜の灯りの下でも、いつでもどこでもできる、まさに『まちをつかったひみつのあそび』! 作者のめぐみさんからコメントが届いています。

「いつも通る公園でふと見つけた、繊細な雑草の影を思い出しながら書きました。例えば影に注目する目とか、おもしろい看板を探す目とか、古い建物を愛でる目とか、まるでメガネを掛け変えるようにいろんな視点でまちを歩いてみたら、平凡な毎日もちょっぴり楽しめるような気がしませんか。ぜひみなさんが見つけたきれいな影も教えてくださいね。」

上演のコツ

きょうのあなたは「この世にひとつしかない影を探す冒険家」です。

まずはそんな冒険家になりきって、自分の見つけたきれいな影、おもしろい影、ふしぎな影などを、写真におさめたり、紙に写し取ったりしてみましょう。見つけた影は、誰かにおすそ分けましょう。SNSを通じて遠くの人と、すぐとなりにいる身近な人と。

お子さんや恋人と一緒にやるのも楽しいですが、ひとりでこっそりやってみると風景の見え方がぐっと変わるので、おすすめです。

上演して(やって)みたよ! で、どうすればいいの?

きょうの演劇では「こんなふうにやってみたよ!」という体験談や、感想を募集しています。ラジオネームと、やってみた人は写真を添えてTwitterInstagramで投稿してください。ぜひ、あなたの見つけた影の写真を添えてください。

SNSに投稿する際はハッシュタグ「#きょうの演劇」を添えてください。「きょうの」はひらがな、「演劇」は漢字です。メール kyonoengeki☆gmail.com(☆を@に変えてください)またはフォーム でも受け付けています。

お送りいただいた体験談は、ラジオまたは『きょうの演劇』公式ウェブサイトまたはSNSで紹介させていただきます。

次回予告

来週2月19日(土)は昨年、反響の大きかった「あの戯曲」を再放送する予定です。どうぞお楽しみに。

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