指示書2「雨を手のひらで受け止める」

まちをつかったひみつのあそび 指示書 2
「雨を手のひらで受け止める」

 

空から降る雨が最初に着陸するのは、あなたの手。

長い旅の途中、あなたの手のひらで一休み。

蒸発するまでほんの数分、いっしょにすごしてください。

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ゲストアーティスト:本原令子

 


指示書を聞く

 

【読み手:佐藤ゆずさん (SPAC-静岡県舞台芸術センター  俳優)】

 

あそびかた

6月のはじめに、雨の登呂遺跡へ行きました。
みなさん、子供の頃に、一度は社会科見学で行ったことがあると思います。私は登呂遺跡によく行くんですけど、雨の日に行ったのは、初めてでした。あの日は風もあって雨に濡れると寒くて、竪穴式住居の中で雨宿りをしました。

でね。住居の中から、ふりそそぐ雨を見てたら、あ、2,000年前もここで雨を眺めていた人がいたんだって思いました。天気って今も昔も変わらない。今も、昔も、雨が降るんです。

ところで地球上の水の量は、ここ数十億年ほとんど変わってないそうです。
水は姿を変えて、地球をぐるぐると旅してる。
あなたの手のひらにある雨と次に会う時は、田んぼの水か、おでんの湯気か、かき氷?
や、夜のバーでウィスキーと一緒にあなたの喉にすべりこむかも。
温泉で会うかもしれない。地球上どこでも行けるんでスイスの雪山で会うなんてことも考えられます。

私たち人間の体も、60%くらいは水でできている。植物は60〜80%、
そこを歩いてる蟻さんの体も60%は水分です。
虫博士の岸本さんに尋ねたら、
雨が降らない砂漠で、海からの湿った空気を逃すまいと
でこぼこの甲羅で夜露を受け止めて水を得る甲虫もいるそうです。
和名は「キリアツメゴミムシダマシ」。霧を集めるなんてイキなやつ。

生き物が生きていく中で必要な「水」。地球のことを「水の惑星」って言うけど、
わたしたち、みんなで水をシェアしてる。
人間も水を必要とするの生き物のうちの1つ。
『One of Them』です!

お茶を飲むとき、晩酌する時、その水はしばしあなたの体に滞在してまた出て行きます。あ、サラダをたべるのは植物の水分をいただくことになるわけ。
家のなかで、台所とトイレは別々だけど、下水管の中では合わさって1本になります。下水処理場で綺麗になった水は川から海に出て、赤道へ向かうあいだに蒸発して雲になり、雨が降って植物が育ち、川になった水は上水道局の人が「おかえり」って出迎えている。長い旅です。海も空も境いめはありませんし。

水道をきゅっとひねったら「こんにちわ。」
トイレでフラッシュするときに「いってらっしゃい、また会おうね」って声をかけてみるのもいいかな。

あなたの手のひらから、雨が蒸発するまでたぶん3分ぐらい。
何、考えてた?
よかったら、おしえてください。

本原令子


7月16日(土)9:20〜12:00
「みんなで遊んでみる!イベント@登呂遺跡」も開催します!
詳細はこちらをご覧ください。


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