8月14日(土)放送:「このまちのスーパーマン」

このまちのスーパーマン

あなたはスーパーマン。このまちを守る、名もなきスーパーマン。

「自分はスーパーマンなんかじゃない」ってあなたは言うだろうけど、ぼくに言わせれば、ただ忘れてるだけ。実は、あなた以外の人は、みんな知ってる。角(かど)のコンビニの店員さんも、路線バスの運転手さんも、向かいのおばさんとおばさんが飼ってる犬も、地元の小学生たちも、あなたの家族も全員、それを知ってる。

あなたが自分はスーパーマンだってことを思い出す、小さな魔法を教えるね。
それは、自分が映画の主人公だと思って、きょうを、かっこよく過ごすこと。

朝は決まった時間に起きて、自分のためにすてきな朝食を用意しよう。お金をかける必要はないし、全部手作りじゃなくっていい。パンをトーストして、卵はお好みの固さで、フルーツは美しくカットしてお皿に並べる。椅子にゆったりと腰かけて、スターのように足を組んで、たっぷり時間をかけてコーヒーを飲もう。

昼間は、毎日できるだけ違う場所へ行って、違う人たちに会おう。たとえ毎日、同じ仕事場や学校に通って、同じ人たちと顔を合わせていたとしても、行き帰りやランチタイムは、知らない道を通ったり、違うことをしてみる。わざと路地に迷い込んでみるのもいい。次の展開が予想できない、ドラマのように。

そして出会った人たちのために、自分はいま何をするべきか考えて、行動してみて。

泣いている人がいたら、花束を買ってきてプレゼントしよう。イライラしている人がいたら、お茶をいれてあげよう。しばらく会っていない人がいれば、手紙やメッセージを送ろう。「あなたがどうしてるかなって、ふと思い出しました。お元気ですか?」誰かが自分を気にかけてくれている、と気づくだけで、ひとは孤独から抜け出せるから。

夜は、仕事を終えてシャワーを浴びたら、新しいシャツに着替えて、ひとりで家を抜け出そう。好きなアクセサリーや香りを身にまとって。隠れ家みたいな場所、たとえば行きつけのカフェや、月の見える浜辺で静かに過ごそう。あすはまた新しい自分に生まれ変わって、新しい映画が始まる。きょうの幕が下りる前に、自分という観客のために美しいラストシーンを演じよう。

あなたはスーパーマン。世界の片隅に灯をともす、あなたは、スーパーなヒューマン。


聴き直し

当日の放送は以下You Tubeまたはradkoタイムフリーから聴くことができます。

戯曲を朗読しているのはSPAC-静岡県舞台芸術センターの俳優・奥野晃士さん。今月(2021年8月)の戯曲を読んでくれます。

この戯曲を一緒につくったのは・・・

今回の戯曲は、スリランカから日本に移り住み、静岡市葵区で「サヒル17」というスリランカカレー専門店を営む坂本サジットさんと一緒につくりました。サジットさんにインタビューをして、お話してもらったことからインスピレーションを得た「きょうの演劇」プロジェクトチームが書いたものです。

サジットさんは以前、スリランカの軍隊のレスキュー隊で働いていました。小さい時から特殊部隊の入隊を目指してトレーニングをしていたそうですが、お母さんに”人を殺すために君を産んだわけじゃないよ”と諭され、人の命を救う仕事を選んだそうです。

サジットさんは来日後、大きな事故にあって片足の膝から下を失います。そんな逆境にも負けず、サジットさんは人口減少している中山間地域のために何かしたいと「水見色」という山の集落でカフェ「さじっとの家」を始めたり、コロナ禍で困っている飲食店のお弁当を買い取ってサジットさん自ら街頭に立って販売する「セレンディブ号」といった活動をしています。

サジットさんのお話を聞くと、まるで本物のスーパーマンのようです。この戯曲は、“サジットさんみたいに生きるにはどうしたらいいですか?”と訊いて教えてもらったヒント――映画の主人公のように生きることや、自分のための朝ごはんを大切にすること、夜ひとりで隠れ家へ出かけること――や、サジットさんが実際にしている行動――街角で泣いている人に花束をあげる(!!)――が盛り込まれています。

と同時に、私たち一人ひとりが日常生活の中でそれを実践するってどういうこと?というストーリーに翻訳してみました。

きょうの演劇プロジェクトメンバーの柚木さんとサジットさんのツーショット撮影中。とても仲良しのおふたり

上演のコツ

上演はいつでも構いません。でも「いつか」よりは、「きょう」!
「“これをやろう”と思い立ったらすぐに行動する」ことも、サジットさんに教えてもらったことです。

上演して(やって)みたよ! で、どうすればいいの?

きょうの演劇では「こんなふうにやってみたよ!」という体験談や、戯曲の感想を募集しています。ラジオネームと、やってみた人は写真を添えてTwitterInstagramで投稿してください。

SNSに投稿する際はハッシュタグ「#きょうの演劇」を添えてください。「きょうの」はひらがな、「演劇」は漢字です。
メール kyonoengeki★gmail.com(★を@に変えてください)またはフォーム でも受け付けています。

お送りいただいた体験談は、ラジオまたは『きょうの演劇』公式ウェブサイト・SNSで紹介させていただきます。

次回予告

次回8月21日(土)の『きょうの演劇』は、ラジオでいつも流れるテーマ曲をつくってくれた、音楽家の丸山研二郎さんの生出演トークをお送りする予定です。どうぞお楽しみに!

 

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