8月28日(土)放送:「手と過ごす」

「手と過ごす」

どこにも出かけられないなら
きょうは 手と過ごしてください

手のひらを見つめてください
その皮膚の下に 血が流れていることを感じてください
指いっぽんいっぽんの どくんどくんという脈の動きを感じてください
手のひら全体がぽおっと温かくなって
指先がちりちりしてくるのを感じてください

ちりちりに熱くなった手で じぶんの二の腕に外側から触れてください
右手は左腕に 左手は右腕に じぶんを包むように
さわられている腕の感覚に集中してください

窓を開けるか ベランダに出るか ビルや歩道橋の上に行って
声が聞こえないくらい遠くにいる人を探してください
見つけたら その人に向かって手を振ってください
相手が気がつくまで 手を振ってみてください

誰もいなければ 人じゃなくても手を振ってください
ネコ 鳥 電車 山
怖がらせないように ゆっくりと手を振ってください

手と あそんでください
くだらないものを つくってください
なんでもかんでも びりびりと やぶってください
指で 反対側の手のひらに文字を書いてください
あいうえお
こんちくしょう
おなかすいた
指で 手のひらと ひみつの話をしてください
手のひらにだけ ほんとのことを話してください
「あのね、私、あの人のこと…」

今はまだ触れられないから
きょうの手は 大事にとっておいてください


聴き直し

当日の放送は以下You Tubeまたはradkoタイムフリーから聴くことができます。

今回は急きょ書き下ろした戯曲なので、事前の収録ができず、パーソナリティの洋輔さんが生放送で読み上げてくれました。

今回の舞台

2021年8月28日現在、静岡県には緊急事態宣言が適用されています(9月12日まで)。

もともと今日は、静岡のまちの具体的な場所を舞台として、まちの人に会いに行く戯曲を放送予定でした。ですが緊急事態宣言の発出はもとより静岡市内の爆発的な感染拡大状況を鑑み、登場されるまちの人やリスナーの皆さんが安心して上演できるようになるまで、戯曲の放送を延期することにしました。

『きょうの演劇』は、公共空間とラジオを舞台として、人とまちとの関係性を結びなおすプロジェクトです。

ですが今の私たちはできる限り外出を控えること、人との接触機会を減らすことを求められています。そんな今だからこそ上演したい(してもらいたい)戯曲を書き下ろしました。

舞台は特に指定されていませんが、皆さんが自宅をはじめ、まちに出かけられずに「ステイ」している場所を想定しています。

上演のコツ

言わずもがな新柄コロナウイルスの大流行で、私たちの手は四六時中、消毒されっぱなしです。そのために有用な常在菌まで殺菌されて、指先の怪我が治りにくいとかなんとか…。

また、なかなか人や物に触れることもできず、手を通じたコミュニケーションや喜びが奪われています。そんな日々のなか、私たちの手は弱ったり、感覚や感性が鈍ったりしているのではないか?

きょうはそんな「手」に気持ちを向けながら過ごし、手と遊び、手と対話する。手の健やかさや感性を取り戻す。そんな戯曲です。

「手」とひとことで言っても、人それぞれ、いろいろな手があると思います。指が動きにくい人など、書かれたとおりにやるのが難しい人は、無理のない範囲で、やりやすい形にアレンジして上演してみてください。

上演して(やって)みたよ! で、どうすればいいの?

きょうの演劇では「こんなふうにやってみたよ!」という体験談や、戯曲の感想を募集しています。ラジオネームと、やってみた人は写真を添えてTwitterInstagramで投稿してください。手の写真を撮って、一緒に投稿してくれるのも嬉しいです。

SNSに投稿する際はハッシュタグ「#きょうの演劇」を添えてください。「きょうの」はひらがな、「演劇」は漢字です。メール kyonoengeki☆gmail.com(☆を@に変えてください)またはフォーム でも受け付けています。

お送りいただいた体験談は、ラジオまたは『きょうの演劇』公式ウェブサイトまたはSNSで紹介させていただきます。

次回予告

次回9月4日(土)から9月いっぱいの『きょうの演劇』は、皆さんおなじみの「しずてつ(静岡鉄道)」をテーマにした戯曲シリーズを放送する予定です。どうぞお楽しみに!

特集

ディレクターがつづる「場所日記」

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