9月4日(土)放送:「しずてつ全15駅・沿線11キロ、100年の旅」

「しずてつ全15駅・沿線11キロ、100年の旅」

静岡鉄道、通称しずてつ。100年ほど前、清水港から輸出するお茶を運ぶため静岡と清水の間に敷かれた鉄道です。きょうはおうちでお茶を飲みながら、この電車になってみます。

新静岡、新静岡。まもなく発車します。急須と茶葉をご用意ください。ティーバッグでもいいですよ。この際、ペットボトルでも。ご準備はいいですか? それでは、全15駅・全長11キロの旅に出かけましょう。

最初に停車するのは、日吉町。ここは戦前、台所町(だいどころまち)駅という名前だったので、台所へ行ってみてください。台所にあるもので、しりとりをしますよ。では私から……「や・か・ん」…「み・り・ん」…「し・お」。「お」ですよ、お。おのつくもの、探してみてください。

お…お…おのつくものを探しているあいだに、音羽町に着きました。
きよみずさんは、静岡で一番早い花火で知られています。ここには昔、火力発電所がありました。あそうそう、やかんの水を火にかけるのをお忘れなく。ドアが閉まります。

春日町は駅のホームが縁側のようです。あなたも縁側に座るか、窓辺に椅子を置いてみましょう。ガタンゴトン、ガタンゴトン…そこから何が見えますか?

柚木。路面電車のように、国道一号線を走る車たちと並走します。ビルの向こうを、東海道線や新幹線が追い越していきます。

カンカンカンカンカン。踏切を越えたら、長沼、長沼です。やかんのお湯が沸騰したら、火を止めるのをお忘れなく。そのまま少し休ませましょう。70度くらいのお湯で淹れると、お茶の甘味が引き出せます。電車たちも、車両基地でお休み中。次の出番を待っています。

古庄。さあ、ひとつめの山場です。巴川の支流、大谷川を渡り、そしてJRの線路と交差します。ジェットコースターのように地上を離れて、家々の屋根を見下ろしながら、東海道線と新幹線の線路の上を越えていきます。振り返れば見えてくるのは、そう、富士山。

県総合運動場。ホームの向こうに南アルプスに連なる山々がそびえ、富士山があなたを見ています。あなたの今いる場所から、富士山の方角に向かって「おはよう!」と挨拶をしたら、やかんのお湯を一度湯のみに注(つ)いで、それから急須に注(そそ)ぎます。

60秒ほど蒸らしながら、県立美術館前。上り線ホームにある、ロダンの「考える人」のポーズで待ちましょう。

草薙。ここからしばらく、まっすぐな線路が続きます。JR草薙駅をご利用の方は、こちらでお乗り換えください。

御門台。滑走路のような線路が続きます。電車から空の旅に変更したい方は、ここから飛び立ってください。

狐ケ崎。手前で線路は大きくカーブして、再びまっすぐ。ここには昔、遊園地があって、今でもボウリング場が残っています。ボウリングしたい人は、こちらでお降りください。

桜橋。東側の駐輪場のどこかに、日本平動物園のホッキョクグマのプールにつながるひみつのトンネルがあります。探さないでくださいね。

入江岡。全15駅の中で一番小さな駅です。入り江という名前の通り、このあたりは太古の昔、海でした。潮の香りがしてきたら、この旅のクライマックス。海と川の水が入り交じるエメラルドグリーンの巴川を越えれば、まもなく新清水、新清水です。急須からお茶を注いでください。

新清水、終点です。きょうのあなたは、しずてつの電車でした。あなたは100年前、新鮮な茶葉をいっぱいに載せて、毎日、静岡と清水の間を走っていました。その香りを思い出しながら、目の前のお茶を味わってください。またのご乗車をお待ちしております。


聴き直し

当日の放送は以下You Tubeまたはradkoタイムフリーから聴くことができます。

今月(2021年9月)の戯曲を朗読してくれているのはSPAC-静岡県舞台芸術センターの俳優・宮城嶋遥加さん。ご自身も清水区(旧清水市)ご出身だという宮城嶋さん。静鉄の全15駅の旅を、遊び心いっぱいに読んでくれました。

今回の舞台

9月は「しずてつ特集」。静岡鉄道といえば、静岡市民の日常生活とは切っても切れない身近な存在。戯曲の中でも語られているように、約100年前、1919年に清水港から輸出するお茶を静岡から運ぶために開通した電車で、現在の静岡の風景を形作ってきた歴史とも深い関係があります。

この戯曲では、演者(つまり、あなた)しずてつ下り線(新静岡駅―新清水駅)の電車になりきって、全15駅・沿線11キロを旅していきます。つまり電車が主人公であり、その路線が舞台!ですが、現在静岡県に発出中の緊急事態宣言を背景に、ご自宅で上演できるようになっています。

上演のコツ

今回の戯曲のテーマは、ずばり「おうちでしずてつ」。ぜひ、お茶を淹れながら・飲みながら、しずてつが100年続けてきた旅に思いを馳せてみてください。

そして通勤・通学などで静鉄に乗る機会や、安心してお出かけできるようになったら、ぜひ電車に乗りながら、この戯曲を読んで/聴いて、こっそり上演してみていただきたいです。

上演して(やって)みたよ! で、どうすればいいの?

きょうの演劇では「こんなふうにやってみたよ!」という体験談や、戯曲の感想を募集しています。ラジオネームと、やってみた人は写真を添えてTwitterInstagramで投稿してください。ご自分で淹れたお茶や、お気に入りの静鉄沿線の写真を撮って、一緒に投稿してくれるのも嬉しいです。

SNSに投稿する際はハッシュタグ「#きょうの演劇」を添えてください。「きょうの」はひらがな、「演劇」は漢字です。メール kyonoengeki☆gmail.com(☆を@に変えてください)またはフォーム でも受け付けています。

お送りいただいた体験談は、ラジオまたは『きょうの演劇』公式ウェブサイトまたはSNSで紹介させていただきます。

次回予告

次回9月11日(土)『きょうの演劇』はプロジェクトメンバーが出演し、9月いっぱい放送する「しずてつ特集」についてお話する予定です。どうぞお楽しみに!

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